箏を続けてきたことが、受験時の差別化になる時代へ
先日訪問したとある学校の校長先生からとても印象深いお話を伺いました。
ある子どもの大学受験時の面接でのエピソードでした。
「履歴書にある英検や一般的な資格検定などは大学受験では見向きもされなかったが、幼いころから長く日本の伝統文化活動を続けて、師範の資格を取っていたところに注目され、興味を持たれた。」という実例があったそうです。
この話には、今の時代に求められる資質・価値観が凝縮されているように感じました。
以下では、その背景を探りつつ、箏という文化活動が “受験時にアピールできる強み” になり得る理論と事例を交えてご紹介します。
なぜ「長く続けること」が評価されるのか
1. 継続力・忍耐力の証明
長年にわたって一つの活動を続けることは、短期の努力では見えない「強さ」を示す材料になります。
受験や進学を判断する場(特に総合型選抜・推薦入試など)では、成績だけでなく“その人が何を続け、何を大切にしてきたか”というストーリーも重視される傾向があります。
実際、大学入試での“人物評価”では、学習意欲や課外活動の一貫性が評価対象になるケースも多いため、文化活動の継続は有力なアピールポイントになります。
2. 文化的教養と自己理解の深まり
箏をはじめとした伝統文化を学ぶことには、日本の歴史・思想・美意識と深く向き合う機会があります。
言語文化を学ぶ利点と同様に、文化活動を通じて「価値観・表現の軸」を手にすることは、学びの広がりを生みやすくなります。
(言語と文化は不可分であるという議論もあります)Purdue e-Pubs
3. グローバル時代での文化発信力
グローバル化が進む現代では、「自国文化を理解し、発信できる力」がますます価値を持つようになりました。
先述の先生のお話のように、日本文化の深い取り組みを持つ生徒には、国際交流や大学入試での“文化体験の視点”を問う質問が出されることがあります。
“英語ができる”“留学経験がある”だけでは差別化しにくい時代だからこそ、「日本の伝統を自分なりに解釈・表現できる力」は希少性を持ち得ます。
また、近年の大学入試でも、多面的評価・総合型選抜において「文化や地域・多様性」をテーマとするアピールが増えてきているとの声もあります。
先生方の声から紡ぐ使命感
体験授業を行った中で、以下のような現場のリアルな反応がありました。
- 数ヶ月登校できなかった子が、「今日は箏の授業があるから」と登校を決めてくれた
- 普段は無関心な子が、授業中背筋を伸ばし、意欲的に取り組んでいた
- 騒がしい子が、音を聴く時には静かに集中している様子を見て驚いた
- 音楽授業で演奏に集中しない生徒も多い中、 “音をじっくり聴く体験” は学校としても貴重な時間だという感想
これらの声は、箏体験によって子どもたちの内面に「変化のスイッチ」が入る瞬間の証言だと思います。
そして、それを継続してきた子どもたちの人生には、単なる受験対策ではなく、主体性・文化力・表現力という土壌が根づいているはずです。
記事をお読みの保護者・生徒・教員のみなさまへ
もし、お子さまや生徒さんが箏や日本伝統文化に興味を持っているなら、それは単なる趣味にとどまらない「将来の武器」になり得ます。
- ただ一曲を弾ける程度で終わらせず、3年・5年・10年という時間軸で育てていくこと
- 演奏だけでなく、文化背景や表現・創意工夫を重ねること
- 自分の体験を文章化・発表につなげていくことで、受験や入試での物語性を育てること
そうした歩みの一つ一つが、将来の選択肢を広げてくれると、私たちは信じています。
佳寿美会では、ただ演奏技術を教えるだけでなく、「伝統と未来をつなぐ力を育む場」として、丁寧に伴走していきたいと考えています。
体験授業のご依頼、ご相談はいつでも歓迎しています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。


