わが子が『挑戦できる子』に育つために佳寿美会と親御さんと協力してできることについて考えていきます。
挑戦できない子、増えている
私たちは、ネットやTV・読書などで手軽に「成功者の体験談」を見聞きできるようになり、「成功ありきの行動や努力」を知識として知っているようです。その結果、負けることや間違えることへの恐怖心が高まり、「結果はどうであれ挑戦することに意味がある」と考ることが難しくなっているように感じます。
小さい子をもつ保護者の方たちのなかにも、「わが子には失敗させたくない」「将来成功できるように導いてあげなきゃ」と考える人が増えてきていると感じています。
例えば、せっかく「箏楽しい!」「もっとひきたい!」と自分の心や気持ちを大切に体験会に来てくれた子と、「子どもの挑戦を応援したい」という保護者の方がいます。申込や送迎などをするうち「わが子には失敗させたくない」「成功できるように導いてあげなきゃ」と考えるのか、「(子どもに)お稽古しないの?」「うちの子大丈夫でしょうか?」そんな親の不安を感じ取り、期待に応えたい子どもは、失敗を恐れて“思い切った挑戦”ができなくなります。
大抵の親は子どもの「成功体験」を重視します。しかし成功体験と同じくらい、もしくはそれ以上に大切なのが「失敗体験」です。子どもの挑戦力を育てるためには、失敗体験は欠かせないのです」
勇気を出して挑戦することの大切さと、失敗体験は必ず自分の力になること、このふたつをお稽古を通して子どもたちに伝えるのが私たち大人の大事な役目と考えています。
挑戦できない子にしてしまう親のNG行動
わが子を「挑戦できない子」にしてしまう親には共通点があります。その特徴を解説していきましょう。
■失敗させないように先回りする
もっとも多いのが「わが子の失敗を未然に防ぐ親」です。先ほども触れたように心配でつい「(子どもに)お稽古しないの?」「うちの子大丈夫でしょうか?」手や口を出してしまうのは、子どもへの深い愛情ゆえと思います。
ですが、子どもを信じて見守ることができなければ、いつまでたっても失敗体験からの挑戦力を養うことはできません。わが子が失敗して悲しむ姿は見たくないものです。しかし、失敗からしか学べないことはたくさんあるのです。
■子どもの失敗をすぐに親の手で正す
例えば、お稽古をサボる子どもがいたとします。親はやはり焦って「(子どもに)お稽古しないの?」と言ってみたり「うちの子大丈夫でしょうか?」と先生に尋ねたりします。次のお稽古で子どもがあまりにもひけない自分に気が付き泣き出しました。そこですぐに親が励ましたり、庇いだてるのはNG。悔しい気持ちは受け止めますが、受け止めるだけに留めます。
このとき子どもは「お稽古をサボるとどうなるのか、それは誰のせいでもなく自分なのだ。」子どもは自分が何を間違えていたのか気が付き、また同じ失敗を繰り返すまいと努力することが出来るでしょう。失敗に気づき、克服することで挑戦力は鍛えられるのです。
■「失敗は悪いこと」と子どもの心に植え付ける
失敗した人を見てバカにしたり、「失敗したらこんなに悪いことが起こる」などと脅したりすることで、子どもは過度に失敗を恐れるようになります。「ほら見てごらん、ああいうことをしたら失敗するんだからね」「だから失敗するって言ったじゃない」と子どもさんに言っていたら要注意。
そのように言われ続けた子どもは、「失敗するくらいなら最初から何もしない方がよい」と思うでしょう。
■「先生に褒められた!」は素直に認めて
指導する立場では、子どもには「ここをこうすればもっと良くなる」という伝え方に終始しています。
保護者にも「ここが良くなった」「ここがよく出来ている」と良いところを話すようにしています。自己肯定感の低さが目立つ親御さんは「(子どもに)良かったね!」「ありがとうございます!」などと言えないようです。
子どもを茶化して「家では全然なのにねー」「ほんとー?まだまだだと思いますー」と言ったりします。これは謙遜でもなんでもなく、子どもを茶化しているだけです。
そのように言われ続けた子どもは、「せっかく出来たのにママはわかってくれない」と思うでしょう。
指導者の立場で、良いところを親御さんに積極的に話すのは、子どもが一番「出来た嬉しさ」「ひけた楽しさ」「頑張り」をわかってほしいのは親御さんだとわかっているからです。
親御さんからの「良かったね!ママ○ちゃんの演奏楽しみにしているね!」が子どもの挑戦意欲を刺激します。
成功も失敗も同時体験で挑戦できる子に
「挑戦できる子」にするために、佳寿美会と保護者が協力できることをまとめました。
■「失敗してもいいんだ」という気持ちを育む
自己肯定感の低さから、周りの目を気にして挑戦意欲を失ってしまうこともよくあります。親が子どもと信頼関係をしっかり築くことで挑戦意欲が高まります。成功は一緒に喜び、失敗したら背中に手を添えてくれる親御さんだったらどうでしょう?親子の強い信頼関係は子どもに安心感を与え、「失敗しても大丈夫」「お父さんとお母さんが見守ってくれている」と挑戦を後押ししてくれるようになるのです。
■親の失敗体験を教える
子どもに失敗談をいくつか話しましょう。失敗は怖いことじゃない、乗り越えれば自分の力になる、と身近な例から学ぶことができます。アドバイスでなく、失敗談を話して笑ってくれる親の姿に、「よし!私もやってみよう!」と挑戦意欲が湧きます。
■挑戦する力を育む声かけを
親のひとことで子どもは不安に打ち勝ち、一歩前に踏み出す勇気を手に入れることができます。「昨日よりもいい音が出ていたね!」と子ども自身の過去と比べて成長を褒めたり、「○ちゃんならできる!」と信頼していることを伝えたりすることを心がけましょう。
大人の目線で見ればダメなところ・悪いところに目が行きがち、口にしがちです。でもかわいいわが子です。たくさんのよいところを見つけて、どうせ口にするなら悪いところでなく、良いところを口にしてほしいと思います。
親の愛情を感じ取ることは何よりも子どもの自信につながり、一歩踏み出す力になります。